難関私立中学入試のヒント2

入試過去問の研究は、ほとんどの受験生がやっているはずです。
もうひとつやってみるとよいのが、その学校の定期テストの研究です。
その中学やその上の高校に通っている人が知り合いにいる場合、定期テストの過去の問題や教員作成の実力テストの問題が入手できるかもしれません。可能であれば、これは是非やってみることをおすすめします。
塾などで、卒業生から取り寄せてデータベース化すると、なお良いのではないでしょうか?

中学入試では、中1で学習すべき内容の多くが含まれています。中学入試の問題には、中1の定期テストで出題された問題の類題が含まれる可能性があります。
また、高校の定期テストの問題も、作問の発想を知るという意味で役に立ちます。入手して、塾の先生に見せてみると良いかもしれません。
私も、入試問題を作ったことがありますが、定期テストや校内の実力テストに出したものから発想を得て、または材料として利用して出題したということはあります。どのような力をつけてほしいかという観点からは、教員から見れば、入学してきた生徒であっても、入学候補の受験生であっても同様です。

それから、その私立校からの進学者が多い大学の入試問題の傾向と、中学入試の問題の傾向には、教科によっては関連性があります。大学入試と中学入試では材料は違いますが、発想は同じなんてことがあります。
たとえば、東大に多く進学する学校では、東大入試の中学版のような発想で問題が作られていることもあります。なので、受けたい中学の入試過去問と、その学校からの進学者が多い大学の入試過去問とを並べて、共通要素を抽出してみると良いと思います。この作業は難しいので、塾の先生や入試分析の素養のある人にお願いすると良いでしょう。

難関私立中学入試のヒント1

 

私が勤務しているのは、中高一貫の進学校です。

中学入試の勉強というと、塾のテキストにある知識や解法を覚え込んで、問題に速やかに対応して答えるという発想を持っている人が多いようです。

入学した後も、定期テスト前に、「先生、何をおぼえたら80点以上取れますか?」なんて聞いてくる生徒もいるくらいです。

しかし、私立進学校(特に難しい学校)の作問担当者が考えていることは違います。知識量やパターン認識ではなく、理解力やその教科特有の考え方(習慣)を身につけているかです。

理由は容易に想像できるでしょう。学校側は、入ってきた生徒が将来、その学校の卒業生たちと同じような大学へ進学することを想定しています。進学実績は、企業の業績と同じです。進学実績が前年度より劣っているような状況が続けば、少子化の中、学校の経営が成り立たなくなります。

難易度の高い大学へ進学できる素質は、中学入試の知識や解法をたくさん詰め込んでいるかどうかではなく、上に書いた作問担当者の考えのようなことです。

入試問題についても、要求される知識や解法は多くはなく、問題を読み取って、問題文に沿って考えて答える形式のものが多くなります。

以上を受けて、中学入試を受ける上で、ヒントになるようなことを次回書いてみようと思います。